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宇宙天体百科

2017年4月号

今月の星座
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星図の日時

3月01日 23時
3月15日 22時
3月31日 21時
4月15日 20時
4月30日 19時

月の満ち欠け
(星図の月は23時)

2月26日 新月(朔)
3月05日 上弦
3月12日 満月(望)
3月21日 下弦
3月28日 新月(朔)

北斗七星

渡部潤一 国立天文台副台長

 「暁や 北斗を浸す 春の潮」(松瀬青々1869?1937 俳人)晩冬から春にかけて,北東の地平線から姿をあらわす北斗七星の雄大さは,昔から多くの人の心を捉えてきた。ギリシア神話では,北斗七星を熊の胴体から尾と見たて,周囲の星々を結んで,「おおぐま座」とした。しかし,周囲の星はみな北斗七星にくらべて暗いため,歴然と目立っている北斗七星の方が星座名より有名である。なにしろ,北極星をさがす目印として,小学校の教科書にのっているほどで,その知名度が高いのは当然だ。
 北斗七星はその形から,水をくむ「ひしゃく星」という呼び名のほか,ふたつのさいころ(目が3と4を示している)と考えた「四三の星」,船の舵と見たてた「舵星」などとも呼ばれていた。
 そんな見事な形をなす北斗七星だが,その形は長い年月の間にくずれていく。恒星は,天球上でずっと同じ場所にあるわけではなく,それぞれがほんのわずかずつ動いていくからである。しかも,こうした目立つ明るい恒星は,どれも太陽系に近い。電車に乗っていると窓の外の近い景色はあっという間にうつりかわっていくのに,遠方にある山々や月などの方向はほとんど変化しないのと同じで,近い恒星ほどみかけの動きは速くなる。太陽も,相手の星も両方とも動いているために,地球から見える星座をつくる星たちも,どんどん動いていくのである。数万年もすると,北斗七星の形もくずれてしまうのだ。こうした恒星のみかけの運動を天文学では固有運動と呼んでいる。

北斗七星の星々は兄弟?
 北斗七星の固有運動に面白い特徴を見いだしたのは,19世紀の天文学者リチャード・プロクター(1837?1888)である。調べてみると,七つの星のうち,両端の星を除いた五つの星が,ほぼ同じスピードで,同一方向に動いていたのである。このように同一方向に運動している星の集団を運動星団,あるいはアソシエーションと呼ぶ。つまり,これらの五つの星は,どうやら同じ星雲から共に生まれた兄弟星らしい。
 星たちは,しばしば同一の星雲から一緒にたくさん生まれる。しばらくは密集した星の集団,すなわち散開星団として輝くが,もともと同じ雲から生まれているので,その母親の雲の運動方向に,生まれた星たちも一緒に動いていく。母親である雲が吹き払われ,その星たちが密集して輝いているのが,おうし座のすばる(プレアデス星団,M45)やヒアデス星団のような散開星団である。北斗七星が散開星団のように密集しては見えないのは,すばるやヒアデス星団よりも老齢(約5億歳)で,個々の星がばらばらになりつつある途中だからだ。

ほかにもメンバーがいる
 この北斗七星の中央部の五つの星からなる運動星団を「おおぐま座運動星団」とよぶ。調べてみると,他にも八つほど,運動星団のメンバーである恒星がおおぐま座に見つかっている。また,かんむり座アルファ星,ぎょしゃ座ベータ星,みずがめ座デルタ星など,30光年×18光年ほどの広範囲に,メンバーと思われる数十もの恒星が見つかっている。これらは運動だけでなく,恒星に含まれる金属量(水素とヘリウム以外の元素の含有量)からも,兄弟であるということが確認されている。

星ごよみ

●3月 ?1日 金星,火星,月の接近

月齢2.8の細い月が宵の明星、金星、火星に接近し、夕方の西の地平線上での天体ショーとなる。

●3月12日 満月

初春の満月で、気温によっては少し早めの朧月(大気中の水分により,ぼんやりと見える春の夜の月)となるかもしれない。

●3月20日 春分の日

太陽が天の赤道を通過する日にあたる。この日以降、北半球では太陽の高度が次第に高くなり、昼の方が夜よりも長くなっていく。

●3月23日 金星の内合

金星が地球と太陽の間に位置する内合を迎える。この日以降、金星は明けの明星となる。

●3月30日 水星,火星,月の接近

月齢2.3の細い月が、最大離角を迎える水星、そして火星と並び、夕方の西の地平線上での天体ショーとなる。